『楽しむ』     (2007.08.03 福島民報新聞「民報サロン」掲載)



「ワキ、キノコ採り行くべえ」「イワナ釣り行くか?」「これ知ってっか?」酒蔵に入って、私は、この地域の良さを、蔵の皆さんに沢山教わりました。

蔵の方々は、Uターンの方が多く、季節ごとの良さ・楽しみ方を大事にしています。

春の山菜に始まり、夏はイワナやアユなどの川魚・日本一の南郷トマト・秋はシメジやマツタケなどのキノコ類・・・

恥ずかしい話ながら、私は、南会津に来るまでスーパーで売っているシメジ(ブナシメジ・ヒラタケ)しか食べた事がありませんでした。

よく聞く「香りマツタケ、味シメジ」なんては、嘘だと思っていた位です。

ですから、キノコ汁に入っていたホンシメジを初めて食べた時は、その美味しさにびっくりして、みんなに笑われる程でした。

一番感動した食べ方は、シメジだけをホットプレートで焼く食べ方。旨みがあふれるとっても贅沢な食べ方です。

こういった自然の恵みを自分で採ってきて、晩酌の肴になんて、最高に贅沢な楽しみ方かもしれません。

もちろん食べ物ばかりではなく、厳しいといわれる冬は、スキー場で。夏は、河原や沢に入ってカジカ突きやバーベキュー、季節に応じた楽しみ方・遊び方を教わりました。


そして、この楽しみ方には、必ずお酒(もちろん花泉)が付いてきます。

「南会津の地酒」という呼び方がありますが、私はこの呼び方が大好きです。

その土地のお酒には、その土地の物が一番合い、その土地に行って、その気候風土を感じながら飲むのが一番美味しいと思っています。

私たちが造る花泉は、食前酒ではなく食中酒です。やさしい甘さと香りが特徴的で、それでいて後味がスッキリとしたものになっています。

料理の味を邪魔せず、さらに引き立ててくれるお酒。楽しみ方が分かっているからこそのお酒だと思います。


 昨年から、この楽しみをみんなで感じたい、よその人にも感じてもらいたい、という思いから、「花泉雪中貯蔵酒と郷土料理の夕べ」を開催しています。

二年目となる今年は、県内外から150名近くもの参加がありました。

 お酒は、この地域に欠かせない雪を利用し、4か月間、この雪の中でゆっくりと熟成させます。甘く、まろやかな味が特徴的です。

それを、地元の郷土料理と合わせて楽しみます。もちろん郷土料理は、地元の方々が作ってくれています。

この地域の郷土料理は、お酒に合う料理が多く、昨年このイベントで知った、「ニシンの麹漬け」は、私が一番好きな郷土料理で、お酒との相性は抜群です。

他にも、『ざくざく』、『なんばんぜい』『鯨汁』など、名前を聞いただけでは、分らないかも知れませんが、どれも美味しくて、お酒に合います。

このイベントに参加された皆さんは、この南会津南郷の良さ、楽しみ方を短い時間ですが共有できたのではないかと思います。そしてゆくゆくは、地元の方が、友人知人を呼び、郷土自慢をする場所にできたらと考えております。


 『料理は、お酒に合わせ、お酒は、料理に合わせる。』

現在、美味しいお酒と料理が楽しめるのは、この地域の人たちが、昔から、この南会津を楽しんできたお陰かも知れません。


 まだまだ、私の知らない楽しみが溢れている南会津。よそ者の私にとっては、楽しみを見つける事・教わる事も、また楽しみの一つなのです。